先週は、ある現場の「長押どうすっかなぁ」が自分の中のホットワードだったので、
長押について、長押の ”生き残り様” について、ちょっとまとめてみました。
長押 (なげし) とは、日本建築において柱と柱をつなぐ形で水平に取り付けられた化粧材のことで、一般的には、和室の襖や建具の鴨居の上 (1.8mくらいの高さ) に水平についているだいたい10cmくらいの帯状の木材のことをさします。※イメージ写真の茶色の部分です。
元々は柱を固定するための構造材としての役割があり、江戸時代には格式の高い建物の象徴として扱われおり、一般人には憧れの代物だったようです。それが現在は、工法の変化や発展によって構造の役目はなくなり、装飾的な役目の存在となっています。
構造的な強さはないといっても、一応しっかりと固定されていて壁との間に少しの隙間を作るので、現代ではハンガーのフック掛けとして利用されていたり、ちょっとしたディスプレイ棚として利用されていたりします。じいちゃんちに行ったりすると、長押にうちわがひっかけられていたり、なんかよくわからない提灯が引っ掛けられていたり、家族の賞状が引っ掛けられていたり、、します。
構造の一部であり、格式高さの象徴であった長押が、今では庶民の便利なお飾り化粧材になってしまっているのです。
ついには、無印良品で「壁につけられる家具」として長押が「家具」として販売されていました。
そんな、
見方によっては落ちぶれていっているような長押ですが、
違う見方をすれば、
構造材としての負担が減ったことで薄く繊細な格好に変化し、みんなに便利に使ってもらえる役目を担って、ついには無印良品さんのプロデュースで家具として独立してしまった長押。
実際、家具なのでどこにでもつけられるし、移動できるし、気分が変わったらはずせばいいし。生活の変化に応じて ”自由さ” を獲得した長押。
かっこよく見えてきまし、、た?
最近の潮流としても、”家” と ”家具” の境界が変化してきていて、
生活の変化に応じて可変できるような、”家” に縛りつけない ”家具” が人気になっていたりします。
ある有名建築家の作品では、階段まで家具として造られている住宅なんかもあったりします。
ただ、
空間に均衡の取れた水平ラインをバシッと入れてくれる、装飾的な長押もやっぱり素敵だなと。
そんな、長押に想いを馳せた先の一週間でした。
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