モンスターを倒したときに獲得するあれではなく、 “経験知”
さて、
「Rootsの家は普通の業者はやりたがらない」
と言われることがあります。
それは、
一棟一棟お施主さんのご要望を反映して作ること、
天然無垢の木材を多く使うこと、
内部に一般的にある隠しのスペースが少ないこと、
手間のかかる工作が多くあること、
などなど、そんなところからくる言葉だと思われます。
先日、ある現場での工事打合せの際、私が一週間ほど悩んで考えていたことが、棟梁の言葉ひとつで解決したことがありました。
また、「お施主さんのご希望でここはこうしてます」というと、「長い目でみるとここは絶対こうしておいたほうが良い」というやり取りはしょっちゅうです。
Rootsには幸運にも経験豊かな協力業者さんがたくさんいて、知恵を出し合って家づくりをしています。
既製品の貼り合わせでつくれる家ではないので、豊富な経験知を持った作り手なしでは成り立たないのが正直なところです。
完成したときの何気ない姿や納まりも作り手が悩んで考えた痕跡と言えます。
しかし、住まいづくりに経験知を持ち込むのは作り手だけでは不十分です。
完成後、その家で生活をしていくのはお施主さんとそのご家族です。
「うちの息子は家に友達をたくさん連れてくるんです」や、
「うちの主人は、仕事がとにかく忙しいから休日はとにかく家でこもりたいんです」や、
「お風呂が大好きで毎日1時間くらい入っていて、いまのお風呂では狭いんです」など、
ご家族の家族構成や生活サイクルのクセ、新たな住まいを作ろうと思ったいきさつや動機、覚悟など、
住み手にしか分からない経験知が当然たくさんあります。
そんな、住み手と作り手が経験知を持ち寄って考えるプロセスこそまさに住まいづくりの醍醐味です。
住宅雑誌をペラペラめくりながら考える家ではなく、
日本のどこに建てようと同じにしちゃう家ではなく、
風土に馴染み、住み手の等身大を映しだす暮らしづくりには、
「経験知しか勝たん」
そんなふうに思う最近でした。
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